宮島瀬戸めぐり旅

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宮島・厳島神社の「管絃祭」完全ガイド:海を渡る神事の歴史と幻想的な魅力 投稿日:2025.07.11

はじめに:平安絵巻が蘇る一夜

広島県廿日市市・宮島で毎年夏に開催される「管絃祭(かんげんさい)」は、世界遺産・厳島神社の代表的な神事であり、大阪の天神祭、松江のホーランエンヤと並ぶ「日本三大船神事」のひとつに数えられています26。2025年は7月11日(金)に開催されるこの伝統行事は、平安時代から続く雅やかな船遊びを神事として現代に伝える、宮島随一の夏の風物詩です。本記事では、管絃祭の基本知識から歴史的背景や見どころを解説します。

管絃祭とは?―800年の伝統を持つ海上神事

神事の本質と起源

管絃祭とは、厳島神社の主祭神である市杵島姫命(いちきしまひめのみこと)を御座船(ござぶね)に乗せて海上を巡行する、雅楽とともに行われる壮大な神事です。その起源は平安時代に遡り、当時の貴族が池や川に船を浮かべて楽しんだ「管絃遊び」に由来します。この優雅な遊びを神事として厳島神社に導入したのは、平安末期の武将・平清盛でした37。清盛は厳島神社を深く信仰し、都の文化を瀬戸内海の壮大な舞台で再現したのです。

神事の特徴的な要素

管絃祭には以下のような特徴があります。

  • 海上巡行:神様が御座船で宮島と対岸の神社を往復する「神の船旅」

  • 雅楽の奉奏:三管(笛・笙・篳篥)、三絃(和琴・琵琶・箏)、三鼓(太鼓・鞨鼓・鉦鼓)による伝統的な音楽

  • 夜の儀式:提灯や篝火で照らされた御座船が夜の海を進む幻想的な光景

  • 歴史的経緯:元禄14年(1701年)の遭難事故を機に、阿賀村と江波村が曳航を担当するようになった

2025年管絃祭の基本情報

開催日程とスケジュール

2025年の管絃祭は7月11日(金)に開催され、これは旧暦の6月17日に当たり、以下の理由でこの日が選ばれています。

  1. 潮位の高さ:大潮で御座船の航行が容易

  2. 月の明るさ:満月に近く、夜間の神事が行いやすい

  3. 台風リスク:7-8月の台風シーズンを避けている

当日のスケジュールは以下の通りです(時間は前後する可能性あり)

  • 15:00 発輦祭(はつれんさい) – 厳島神社本殿で神事開始

  • 16:00 御本殿出御 – 神様を御座船にお遷し

  • 16:40 大鳥居前の儀 – 御座船が大鳥居の下を通る

  • 18:30 火立岩(ほたていわ)沖で停船 – 潮待ち

  • 19:20 地御前神社到着 – 対岸で神事

  • 20:40 長浜神社到着 – ちょうちん行列で出迎え

  • 23:00 御本殿還御 – 神事終了

厳島神社の開門時間

管絃祭当日の厳島神社は6:30~24:00頃まで開門されます(通常より延長)25。昇殿料は大人300円、高校生200円、小中学生100円です。

管絃祭の見どころと楽しみ方

1. 御座船の優雅な航行

管絃祭最大の見どころは、20数個の提灯と篝火で照らされた御座船が夜の海を進む光景です。船首の左右には篝火が焚かれ、艫(とも)には4個の高張提灯が掲げられます。この幻想的な光景は「海上の平安絵巻」とも称され、特に以下のシーンが圧巻です。

  • 大鳥居くぐり:御座船が厳島神社の大鳥居をくぐる瞬間

  • 枡形廻し:神社の廻廊にある狭い枡形で御座船が3回旋回するダイナミックな儀式

  • ちょうちん行列:長浜神社で御座船を提灯の明かりで出迎える光景

2. 雅楽の調べ

御座船では「管絃」と呼ばれる雅楽が奏でられます79。これは平安貴族の音楽を現代に伝えるもので、以下の楽器で構成されています。

  • 管楽器:笙(しょう)、篳篥(ひちりき)、龍笛(りゅうてき)

  • 弦楽器:琵琶、箏(そう)、和琴(わごん)

  • 打楽器:太鼓、鞨鼓(かっこ)、鉦鼓(しょうこ)

夜の海に響き渡るこれらの音色は、参列者を平安時代へとタイムスリップさせます。

3. 参加型イベント「ちょうちん行列」

管絃祭では、一般参加可能な「ちょうちん行列」が行われます。

スケジュールは以下の通り:

  • 19:30 長浜神社でちょうちん配布(無料・先着順)

  • 20:20 採火式 – ちょうちんに火を灯す

  • 20:40 御座船到着 – ちょうちんで出迎え

  • 21:00 行列出発 – 厳島神社まで提灯を持って歩く

配布されるちょうちんはSDGsに配慮し、翌年も再利用されます。この行列に参加すれば、より深く祭りを体感できるでしょう。

おすすめの観覧方法

沿岸からの見物

無料で気軽に楽しめるのが沿岸からの見物です6。以下のスポットがおすすめ:

  • 厳島神社周辺:御座船の出発と帰還を間近で見られる

  • 大鳥居前:船が鳥居をくぐる瞬間を撮影できる

  • 長浜神社:ちょうちん行列に参加できる

アクセスと観光情報

交通アクセス

宮島へのアクセス方法は以下の通りです。

  1. JR広島駅からJR山陽本線で約25分、「宮島口駅」下車

  2. 宮島口桟橋からフェリーで約10分(JR宮島フェリーまたは宮島松大汽船)

  3. 宮島桟橋から厳島神社まで徒歩約10分

管絃祭当日は混雑が予想されるため、早めの移動がおすすめです。

宮島観光と組み合わせて

管絃祭の前後には、宮島の見所も楽しめます。

  • 厳島神社:世界遺産の海上社殿

  • 大鳥居:満潮時には海に浮かぶように見える

  • 弥山(みせん):ロープウェイで登頂可能、瀬戸内海のパノラマ展望

  • 宮島水族館:瀬戸内海の生物を展示

  • もみじ饅頭・あなご飯:宮島名物のグルメ

歴史的エピソードと豆知識

御座船の変遷

現在の御座船は和船3隻を横に並べた構造ですが、かつては1隻の大型船でした9。この形が変わったきっかけは、元禄14年(1701年)の遭難事故です29。暴風雨で転覆寸前となった御座船を、阿賀村の鯛網船と江波村の伝馬船が救助。以来、両村が御座船を曳航する役目を担うようになりました。

旧暦6月17日に固定された理由

管絃祭が旧暦6月17日と決まっているのには、以下の理由があります。

  1. 潮位:大潮で船が座礁しない

  2. 月光:満月に近く、夜間の航行が安全

  3. 台風回避:7-8月の台風シーズンを避ける

  4. 陰陽五行:「山の神と水の神が出会う月」という思想

まとめ:一夜限りの平安絵巻を体感しよう

宮島・厳島神社の管絃祭は、単なる観光イベントではなく、平安時代から続く生きた伝統です37。平清盛が都から伝えた宮廷文化が、時代を超えて形を変えながらも、その神聖な本質を失わずに今日まで受け継がれてきました79。2025年7月11日、御座船が灯す提灯の明かり、海上に響く雅楽の調べ、そして参加者たちが掲げる無数の提灯が作り出す光の行列―これらすべてが融合し、宮島の夜に唯一無二の幻想的な空間を創り出します。

この千年の伝統を目の当たりにできることは、私たちにとってまさにタイムトラベルのような貴重な体験となるでしょう。

宮島を訪れる機会があれば、ぜひこの「海上の平安絵巻」を体感してみてください。歴史の重みと日本の伝統文化の美しさが、心に深く刻まれることでしょう。

<基本情報>

  • 開催日:2025年7月11日(金)

  • 場所:厳島神社及び周辺海域

  • アクセス:JR宮島口駅からフェリーで10分

  • 問合せ:厳島神社 0829-44-2020/宮島観光協会 0829-44-2011

  • 特記:雨天決行、混雑予想のため早めの来島がおすすめ。

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